学問的な観点からいじめを考察する
いじめ問題を解決する上では、
心理学、臨床心理学、社会学、生物学、医学、栄養学、法学…と、
様々な学問の知識が役に立ちます。
専門の立場から見ると、それぞれ見解が違うこともありますし、
「そうだったんだ!」と目から鱗の情報を得られることもあります。
いじめを様々な学問的観点から考察すると
どんな視点が得られるのか?
いじめ問題を、これまでとは違った見方で考えてみませんか。
学問的な観点からいじめを考察するエントリー一覧
- いじめを心理学的に考察する
- いじめは、言うまでもなく、心理学的な要素が絡んだ問題です。「いじめの原因は、学校の勉強や家庭でのストレス」…いえいえ、そんなに単純なものではありませんよ(笑)いじめは、実は、「仲間」を作るための手段の一つでもあるんです。例えば、Aという生徒をいじめのターゲットに決めたとします。そのAを標的に、他の子供たちは団結してあれやこれやと嫌がらせ行為を考え、みんなでいじめを実行する。すると、そうしているうちに、なんともいえない達成感というか、“仲間意識”が生まれてきます。それはまるで、みんなで協力して体育...
- 精神分析的観点からいじめを考える
- 「精神分析」というと、なにやら小難しいようなイメージを抱く方も多いことでしょう。…と同時に、「自分の心はどうなんだろう」「自分について分析して欲しい」といった強い好奇心をくすぐられる分野でもありますよね。精神分析とは、「人の行動の元には無意識的な何かが潜んでいる」という仮定に基づき、その「何か」を探っていくという学問のこと。例えば、寝坊したり、失言したり、物を壊したり…といった出来事も、「たまたまそうなった」のではなく、そこには必ず何か理由があると考えるのです。(本人が意識していなくても、無意識...
- アドラー心理学といじめ対策
- いじめ問題の解決法について調べていくと、一度はぶつかるのが「アドラー心理学」。アドラー心理学とは、その名の通り、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)によって創始された心理学。「個人はそれ以上分割できない存在である」という考え方に基づき、行動の“原因”ではなく“目的”を理解しようとするという特徴があります。人は無意識的に「こうなりたい」という目標(理想)を持っていて、常にそれに向かって生きているのですが、目標に比べて相対的に“マイナス”な「自己概念」や「自己評価...
- いじめの原因は人格障害?
- 「人格障害」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?人格障害とは、“人格”そのものに何らかの問題があって、自分自身または周りの社会が悩むとされる障害のことです。人格とは、その人の行動、考え方、感性、意思などの“パターン”のようなもの。例えば、感情的になりやすかったり、自己中心的だったり、思慮分別に乏しかったり、周りから「変わりモノ」のレッテルを貼られやすかったり。人格は心の奥深くで組み立てられているもので、「変えよう」と思って簡単に変えられるほど単純なものではありません。そのため、自ら生きづらさ...
- ニーチェ哲学的観点からいじめを考える
- 今、いじめを受けて苦しみの最中にいるあなたに、送りたい言葉があります。それは、ニーチェ(Friedrich Nietzsche)という19世紀ドイツの哲学者が残した言葉です。「That which does not kill us makes us stronger」(『偶像のたそがれ』より)直訳すると、「あなたを殺さないものは、あなたを強くする」。もう少し分かりやすく言うと、「我が意思を殺すようなこと無く生きること、己を強靭にするものなり」「生ある限り、全てが試練だ」…ということです。ニーチェ...
- いじめは「割れ窓理論」で説明できるか?
- みなさんは、故意に窓を割った経験はあるでしょうか?筆者は、高校生の頃に1度だけ、自宅の窓を叩き割ったことがあります。…と言っても、決して暴力的な意味ではなく(笑)。暖房が原因で一酸化炭素中毒になりかけて、命の危険を感じたので窓を叩き割って外に逃げたのです。しかし、あの瞬間に感じた、それまで感じたことがない爽快感は今でも忘れられません。自分の中に潜んでいる、自分でも気づいていない攻撃性のようなものが解放されたような…。あの攻撃性が間違った形で発散されていたら、もしかしたら私も、いじめの加害者になっ...
- いじめの根本にある「劣等感」
- いじめの加害者になる子供に共通する特徴として、強い「劣等感」が挙げられるそうです。なぜ、この劣等感がいじめにつながるのかというと、それは、「どんな形でも良いから、とにかく優越感を持ちたい」という欲求が生まれるからです。例えば、「成績が悪い」「何をやってもうまくできない」「行儀が悪い」…こういった理由で常に親や教師に叱られてばかりいる子供は、「自分はダメな人間だ」という劣等感に押しつぶされそうになっている一方で、「それなら、悪さをしてでも目立ちたい」「どれだけ悪いかを見せつけてやりたい」…という歪...
- 発達段階に合わせたいじめ防止指導
- 「いじめ防止教育」の難しい点は、子供の発達段階ごとにいじめの特徴が異なっているということです。なぜなら、子供の社会性は発達段階(年齢)とともに成長していくから。小学校低学年と高学年では、他者との距離感の感じ方・取り方も違います。当然、人間関係の中で生じるトラブル=いじめの特徴も同じではありません。ですから、いじめ防止教育をするのであれば、それぞれの発達段階を考慮した教育が必要です。ここでは、それぞれの発達段階におけるいじめ防止教育で注意すべき点をご紹介していきたいと思います。
- いじめと攻撃性の関係
- 「攻撃性」というと、争いや戦いなどあまり穏やかではないことをイメージする方が多いことでしょう。実際、戦いの根底には「攻撃性」が潜んでいると言っても過言ではありません。私たち人間もまた、動物の一種。「食うか?食われるか?」の競争社会に生きていることは事実です。生きるためには食糧や水が必要ですし、自分の遺伝子を残すためには子孫を作らなければなりません。そのためには、丈夫な子供を産むための伴侶や環境が必要になります。これらを獲得するためには、時には奪い合いを強いられるシーンも出てくるでしょう。実際、東...
- 攻撃性は治療できるか?
- 普通はサラッと流せるような些細なことで攻撃性を感じやすい人(子供も大人も)というのは、幼少期に親など近親者から虐待を受けていた可能性が高いのだそうです。その時に感じた強い不安感や恐怖感を心の奥底にしまい込んだまま成長すると、何か不安を感じる場面に直面した時に人並み以上に恐怖心や攻撃性が強く出てしまうのだとか。このような原因に起因する攻撃性を治療するには、心の傷が深い場合は、虐待されていた出来事自体を思い出せなくなくなっている場合もあります。辛い作業にはなりますが、攻撃性を治療するためには、その記...
- 攻撃性を緩和するには?
- いじめの加害者になる子供たちの中には、自分の中に生まれた衝動的な攻撃性をどうしてもコントロールできない子も多いものです。その結果、些細なことでキレたり、いじめ行為を行ってしまったり。そのような攻撃性を緩和するためには、どのような教育を行えば良いのでしょう。こうした子供たちの教育プログラムとして注目されているのが、1980年代にアメリカで開発された「セカンドプログラム」という教育プログラムです。世界的には、欧米を中心として多くの国々ですでに導入されているのだとか。日本では、NPO法人である「日本こ...
- 攻撃性を測定する方法
- 人の内面に潜む「攻撃性」については、古今東西、様々な実験研究が行われています。また、その際に、「攻撃性」を測定する方法として、様々な“尺度”が用いられています。(“尺度”とは、簡単に言うと、「質問」です。心にはものさしを当てることができませんので、例えば、「“悲しい”という気持ちを、1〜10で表すとどの程度感じていますか?」「“イライラ”は1〜10で表すとどの程度ですか?」といった具合に、感情を数値化して“測定”するのです)その中で、興味深い例をいくつか紹介してみましょう。【補足】尺度とはちょっ...
- いじめっ子の脳の特徴
- 少し古い話になりますが、2008年の11月の「National Geographic News」に掲載されたいじめっ子の脳についての研究結果をご紹介しましょう。(ここで言う「いじめっ子」とは、ケンカっ早かったり、キレやすかったり、嘘をついたり、物を壊してはしゃいだり…という典型的な“やんちゃ者”を表しています)シカゴ大学の心理学者ベンジャミン・レイヒー氏によれば、いじめっ子の脳には、「他人の苦しみを見ると喜びを感じる回路」が備わっている可能性があるのだとか!それまでの研究では、「人は、他人が苦し...
- 栄養素をしっかり摂っていじめ撲滅!
- 身体を動かす原動力となるのは、言うまでもなく食事で摂取する栄養素です。糖質、脂質、たんぱく質…これらの栄養素を体内で代謝し、エネルギーに変えることで私たちは“生きて”いけるわけです。しかし、ただ栄養素を摂っていればそれだけで健康でいられるのでしょうか。実は、栄養素の内容だけではなく、食べる素材、味付け、食事の環境、食事の時間…全てひっくるめた「食生活」の在り方が非常に重要なのです。食生活に問題があると、いわゆる「生活習慣病」のリスクも高くなりますし、なにより“心”の健康を保つことができません。忙...
- 食生活の乱れはいじめの始まり?
- 生きていくためには、“食べる”ことは当たり前のこと。とにかく、食べて栄養を補給しないことには、私たちは身体を動かすことも、ものを考えることもできません。しかし、ただ「食べる」だけで良いのでしょうか?食べる素材、味付け、食事の環境、食事の時間…全てひっくるめた「食生活」というものを、私たち現代人は少しないがしろにし過ぎているように思えてなりません。というのも、この「食生活」の在り方が子供たちの“心”にも大きな影響を与えていることが指摘されているからです。例えば、私たちの身の回りに有り余るほどあふれ...
- いじめでうつ病を発症するケース
- いじめは、身体だけではなく“心”までもズタズタに引き割かれるような行為。学生時代のいじめがきっかけでうつ病を発症し、社会人になってからもなお、その後遺症に苦しむケースも多いようです。うつ病とは、専門的には「気分障害」の中にカテゴライズされる症状。老若男女、誰もが罹患する可能性がある身近な病気で、人が一生の間にうつ病にかかる率は4〜9%とも言われています。具体的には、はじめに次のような症状が表れます。【うつ病の初期症状】・「不安」「悲しい」「なんとなく体調が悪い」「何の希望もない」…といった症状が...