いじめゼロを目指して

先生すら加害者に

学生時代、私はあまり皆の前に出る様なタイプではなくどちらかと言うと端っこの方でこっそり本を読んでいるタイプでした。目立たず騒がずですが話しか

けてくれる人には感触の良い返事をするように心掛けていました。
それなのにいじめはいきなり始まります。ある日登校して机を見ると身に覚えのない落書きがあります。言葉などではなくただ鉛筆で真っ黒になるまで塗り

つぶされた机は物を置ける筈もなく私は急いで消しゴムを取り出して擦りましたが、色濃く塗られた黒鉛は消しゴムを染めるだけで一向に消えません。私は

うろたえながら手を動かします。すると後ろでくすくすと笑い声が聞こえました。ふとそちらを向くとあまり仲の良い方ではなかった私と極端のタイプで、

いわゆるギャル系の女の子たちが私の方を見てニヤついています。そんな人たちと会話するのが苦手だった私は聞こえないふりをしてしまいましたが、心の

中では彼女たちがやったのだと思い悔しさより先に「何故私なのだろう」という気持ちの方が強かった事を覚えています。
やがてホームルームが始まり先生が教室へ来ました。丁度私の隣を通りすがった先生は私の机を見ると備品を大事に扱えないのかと叱りました。彼女たちが

やったのだと言おうと思いましたが否定されたらと思うと言えませんでした。結局一日と消しゴム一つを費やして私の机は綺麗になりました。
しかし翌日登校すると今度は油性のマジックで塗りたくられていました。先生はそれを見て私を職員室へ呼び出しました。向かう途中彼女は教室全体に聞こ

える声で私の背中を笑います。それがとても恥ずかしく半泣きの状態で職員室へ行くと、追い打ちを掛ける様に先生から「おまえは大人しいから自己表現が

下手なんだ」と言われて私は泣き崩れましたがそれを泣けば済むと思っているように取ったらしく更に声を荒げました。「泣いて済むと思うなよ、それと言

い訳は見苦しいからしなくていい。とにかく机を綺麗にしてこれからは絶対にするんじゃない」と釘を刺して私を職員室から追い出しました。
トイレで顔を洗って教室へ戻ると先程まで私を笑っていた子たちが私の所へ駆け寄ると口々に心配する様な言葉や先生を批判する様な言葉を掛けてきます。

不思議に思いながらも胡散臭く感じ、適当にあしらって席に着くと机の上には液体糊が広がっていました。それを見つけると同時に後ろから盛大な笑い声が

起きました。私は悔しくなって教室を出ると廊下中に響く声で「逃げた」だの「面白い」だの騒いでいました。あの声は現在思い出しても戦慄してしまいま

す。


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