生きているから悲しいんだ
アンパンマンの作者である、やなせたかしさんが94歳でお亡くなりになりました。
私はまったく存じ上げなかったんですが、やなせさんは、「手のひらを太陽に」の作詞もされていたんそうですね。
お亡くなりになったことでこういったことが報道されていましたので、ここで初めて知りました。
やなせさんがアンパンマンを造りだしたのには、ご自身が体験した戦争のことが大きく影響しておられるのだそうです。
戦争では殺し合い、食べ物がなくなって死んでいく…これを自身で目の当たりにしておられて、こういった時代が終わっても、世界中ではまだこのような悲惨なことが起こっている。
では世界でどんなヒーローが必要とされているのかを考えたときに、自分の頭をちぎって、おなかをすかせている人たちに分け与えるという自分を犠牲にしても、他者の生きる糧になるというプランが出来上がり、アンパンマンが誕生したんだそうです。
世界中にはまだ食べるのにも困っている人がいたり、なんにも悪いことなどしていないのに殺されたり、その人が憎いわけでもないのに殺したりといった、同じ尊い人間の状態とは思えない事態がたくさんあります。
しかしある意味平和な日本の中ではこういったことを考えもしないですし、報道もほとんどされない。
こういったことは見なければないのと同然になってしまうんですよね。
しかし、今のようないじめで自殺する子供が減っていかない日本だからこそ、世界の大変な状況もきちんと伝え、これについて考え、自分の行動についても考える必要があるのではないでしょうか。
やなせさんの「手のひらを太陽に」の歌詞には、最初に「僕らはみんな生きている 生きているから悲しいんだ」と悲しみから出てきますが、これにもやなせさんの哲学思想がにじみ出ているそうです。
生きているからこそ悲しみがあって、悲しみがあるからこそ喜びや楽しさが対比してより噛みにめられるのだと…。
戦争の状態のときは、悲しい苦しい辛い、人としての心とはいえない状況になっていたけれど、ここから戦争が終わってご飯場食べられるようになって、嬉しいことも楽しいことも存在するようになって…このような時代を駆け抜けてきた人から見たら、いじめで死んでいくという状況がより耐え難い悲しいことに映っておられたようです。
みんながアンパンマンのような気持ちで、優しくて強い人になれたなら、きっとやなせさんも天国で笑ってくれるでしょうね。